介護保険で貸与できる!福祉用具貸与

福祉用具貸与とは、介護用品を貸与できる介護保険サービス。
介護用品があれば、体が不自由になっても自分でできることが多くなり、活動の幅も広がります。

福祉用具貸与サービスを利用できる人、貸与できる福祉用具の種類、メリット・デメリットなどをわかりやすく簡単に解説します。

福祉用具貸与のメリット

福祉用具貸与のメリットは主に以下の3つです。

貸与=レンタル

少ない費用で利用できる

特に大きなメリットは、購入するよりも費用を抑えられることです。

たとえば、介護用ベッドをレンタルする場合、購入しようとすると最低でも10万円程度はかかります。ところが福祉用具貸与でレンタルすると、全額実費であっても月額1万円程度。

介護保険を利用すれば支払いは1~3割の自己負担額のみとなるため、1割負担であれば1,000円程度でレンタルが可能です。

介護は何かとお金がかかるので、費用を抑えられるのは大きなメリットといえるでしょう。

状況にあわせて商品の変更や返却ができる

心身の状態や環境に応じて、福祉用具の変更や返却が容易にできます。

購入すると使用後の返品が難しく、合わなくても無理をして使い続けたり、再度購入することになります。
福祉用具貸与なら、使用する人や住居環境に合っているかを試せて安心です。

レンタルした商品は定期点検してくれる

さらに、定期的に点検してくれるのもメリットのひとつといえるでしょう。

福祉用具貸与は、各自治体から指定を受けた事業所だけがその事業をおこなえます。

事業所には福祉用具専門相談員などの専門のスタッフが在籍し、定期的に訪問してレンタル中の福祉用具を点検してくれます。
使用者の状態に合わせて微調整することも可能です。

福祉用具貸与のデメリット

福祉用具貸与のデメリットは主に以下の4つです。

要介護認定を受けていないと利用できない

福祉用具貸与は介護保険サービスのひとつであるため、基本的には要介護認定を受けていないと使うことができません。
介護保険を利用しない場合は自費となり、同じ商品でも値段が変わります。

要介護認定を受けていないなら、まず介護認定を受けましょう。

使える品目が限られている

福祉用具貸与で利用できるのは13品目のみと限られています。

そのうち、特殊寝台(ベッド)や車いすなどをレンタルできるのは要介護2以上と決められているため、要支援1~要介護1の認定では原則利用できません。

しかし、病状などによっては利用可能なケースもあるので、必要であれば担当ケアマネに相談しましょう。

新品でないことが多い

福祉用具貸与はレンタル商品となるため、基本的に新品ではありません。
しかし、使ったあとは丁寧に掃除をして消毒されています。

永澤誠
永澤誠

弊社では、レンタル商品や消毒に関して全て外注業者で行っています。

それでも他人が使用したことに抵抗があれば、担当ケアマネや福祉用具事業者に相談しておくと、商品によっては新品を使わせてくれる可能性もあります。

はじめは実物を見て選べない

福祉用具貸与は、カタログから商品を選ぶことがほとんどです。
実物を見て選べないために、不安を感じることもあるでしょう。

しかし、ほとんどの事業者がお試し期間(デモ期間)を設けているので、数日実際に使ってみてからの決定が可能です。

福祉用具貸与でレンタルできる13品目一覧

永澤誠
永澤誠

介護保険を利用できるレンタルの対象商品は合計13品目。
それぞれに、対象となる種目や要介護度が決められています。

車いす
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
車いすは、普通型電動車いすと自走用標準型車いす、介助用標準型車いすの3種目に限定されています。

車いす付属品
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
車いす付属品は、車いすと一体的に利用されるクッションやパッドが対象。
車いすに装着することで動力の一部を補助する電動補助用品も、車いす付属品としてレンタル可能です。また、車いす用のテーブルやブレーキも含まれます。

特殊寝台
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
特殊寝台とは電動ベッドのことで、対象となるのは、サイドレールと呼ばれるベッド柵が取り付けられているか、取り付けることが可能なタイプです。
さらに、背部もしくは脚部の傾斜角度が調整できるか、無段階に床板の高さが調整できる機能がついているもののどちらかである必要があります。

特殊寝台付属品
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
特殊寝台付属品とは、ベッド周りの用品を指しています。
ベッド柵やベッド用の手すり、電動ベッド用のテーブルが対象です。さらに、移乗や体位変換などに使用するスライディングボードやマット、介助用ベルトも付属品としてレンタルできます。

床ずれ防止用具
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
床ずれを防止するためのマットなども福祉用具貸与の対象です。
具体的には、部分的な圧力を解消できる送風装置またはエアマット、水・エア・ゲル・シリコン・ウレタンなどからなる全身用マットなどとなります。

体位変換器
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
空気パッド等を使用して仰向けからうつ伏せへの体位変換を容易にするものがレンタルの対象です。
体位保持のみを目的とするものは対象になりません。

手すり
要介護1~ 予防福祉用具貸与〇
手すりは、工事を伴わないものや便器またはポータブルトイレを取り囲んで据え置くタイプのものが対象となります。

スロープ
要介護1~ 予防福祉用具貸与〇
段差を解消するためであり取り付け時に工事が必要ないスロープが、レンタルの対象となります。
個人に合わせて改造したものや持ち運べないものは、福祉用具貸与としての利用はできません。

歩行器
要介護1~ 予防福祉用具貸与〇
歩行が困難な人の歩行を助ける機能があり、構造的に移動時に体重を支えることができる歩行器が対象です。
車輪があるタイプは身体の前と左右を囲む把手などがあるもの、四脚の歩行器では、上肢で保持しての移動が可能なものとなります。

歩行補助杖
要介護1~ 予防福祉用具貸与〇
福祉用具貸与の対象となる歩行補助杖は、松葉杖、ロフストランド・クラッチ、カナディアン・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖の5種類です。

認知症老人徘徊感知器
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
認知症を持つ高齢者が屋外に出た、もしくは屋内のある地点を通過したときにセンサーで感知して家族や隣人などへ通報するものが対象です。

移動用リフト
要介護2~ 予防福祉用具貸与×
移動用リフトには、床走行式と固定式、据置式の3種類があります。
床走行式の場合、つり具やいす等の台座を使用して人を持ち上げ、キャスターで床を移動し、目的の場所へ人を移動させるもの、固定式では居室や浴室等に固定し同様の移動を行うものが対象です。
据置式の場合には、床に置いて同様の操作で移動するものが福祉用具貸与として利用できます。

自動排泄処理装置
要介護4~ 予防福祉用具貸与×
尿や便が自動的に吸引される装置で、尿や便の経路となる部分を取り外すことが可能な構造のものが対象となります。

福祉用具レンタルの料金めやすと上限価格

福祉用具貸与にかかる費用は、商品や事業所によってばらつきがありました。
そこで、国は適正価格での貸与を推進するため、2018年10月からレンタルの上限価格を商品ごとに設定し、全国の平均貸与価格の公表を行うこととなりました。

各自治体では、その地域でよく使用される商品を中心に料金一覧を作成し、商品ごとに全国平均額と最高金額の情報を開示しています。

介護保険を利用すれば、自己負担1~3割での利用が可能なため、レンタルしやすい金額になるのではないでしょうか。

福祉用具貸与を利用する方法は?

(1)ケアマネジャーに相談
福祉用具貸与の利用を希望するなら、まずは担当のケアマネジャーに相談しましょう。
相談を受けたケアマネジャーは、本人や家族と面会を行い、本人の状態や環境、家族の思いなどさまざまな情報を収集します。

(2)福祉用具貸与の事業者を選ぶ
ケアプランに福祉用具貸与を位置付けたうえで、福祉用具貸与事業者の選定を一緒におこないます。
事業者が決まると、必要に応じて相談員が自宅を訪問し、利用者に合った用具を選定します。

(3)契約してレンタル開始
レンタルする商品が決まったら、商品の説明を受け同意をしたうえで契約をし、福祉用具貸与が開始となります。
レンタルしたあとも専門相談員が定期的に訪問し、アフターサービスをしてくれます。

福祉用具貸与では、要介護度によっては対象外となる商品があります。
しかし、心身の状態によっては、要介護度が低くても福祉用具が必要となることもあるでしょう。

そこで介護保険法では、一定の条件に当てはまる場合、軽度者でも医師の所見があれば例外的に福祉用具貸与を利用することができるようになっています。

例外給付となる条件は福祉用具の種類ごとに示されています。

永澤誠
永澤誠

介護が必要な人でも、福祉用具を使えば自立に近い生活を送れることがたくさんあります。それに、貸与する種目によっては、家族の介護負担も減ります。

貸与なら体の状態にあわせて商品の変更もできるから、提案しています。

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